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尽きぬ思い出「楽しかった」 愛知・蒲郡「竹島パルク」5月末で営業終了

2022年5月27日 05時05分 (5月27日 05時06分更新)
土産物店「みむら」の前に立つ三村さん=蒲郡市竹島町で

土産物店「みむら」の前に立つ三村さん=蒲郡市竹島町で

  • 土産物店「みむら」の前に立つ三村さん=蒲郡市竹島町で
  • 31日で営業を終える土産物店街「竹島パルク」=蒲郡市竹島町で
 蒲郡市竹島町の竹島水族館隣の土産物店街「竹島パルク」が三十一日を最後に営業を終了する。一九六三(昭和三十八)年の土産物店街開業から五十九年たち、建物や設備の老朽化が進んだため、取り壊す予定。今ある三店のテナントのうち、開業時から営業してきた土産物店「みむら」の二代目店主の三村美千子さん(86)は「社会はいろいろと変化したが、商売は楽しかった」と振り返った。 (西山輝一)
 竹島パルクは鉄筋コンクリート三階建て。現在は一階部分(約千平方メートル)のみが使われている。
 当初は六店が入居し、みむらは美千子さんの母クニさん(故人)が切り盛りしていた。開業前には二十ほどの業者が出店を希望したといい、「くじ引きの結果、当たって入ることができた」と美千子さんは話す。
 店で扱ってきたのは蒲郡みかんを使った菓子や海産物の乾物、おもちゃ、キーホルダーなど。昭和四十年代の高度成長期には二階に温浴施設があり、団体旅行のバスが多く訪れたといい、「何を置いても売れた」。
 観光客は風呂に入ってから、大広間で旅回りの役者の演芸を見ながら昼食。帰り際に土産物を買うというのが定番だった竹島パルク。だがマイカーの普及に伴うレジャーの多様化やバブル崩壊で観光客は減り、テナントも空きが目立つようになった。近年は竹島水族館の人気の高まりによって盛り返したが、新型コロナウイルス禍が直撃した。
 美千子さんは店に立って、観光客と会話をすることが楽しみだった。近くにある蒲郡クラシックホテルの城郭風の建物を見た観光客から「あれはお城ですか?」と聞かれた際、日本の国際観光ホテルの先駆けとして三四(昭和九)年に開業した歴史を解説するなど、観光ガイド役も務めた。
 これからも店の営業を続けたかったとの思いは残るが、「振り返ると、つらいとか、厳しいということはそれほどなかった。いろいろな人とお話をできて、楽しかった」と感慨を込めて話した。

跡地利用は未定

 竹島パルクを運営する蒲郡竹島観光(蒲郡市)は、六月以降に建物内の片付けを進め、取り壊し工事に入る予定。関係者によると、他の企業と連携し、新たな施設を建設するとの構想もあったが、現状で固まった跡地計画はない。
 土地を所有する市は竹島周辺を含む「東港地区」の開発をまちづくりの重要施策として掲げる。今後、経済界や行政で話し合いながら活用法を検討していく。

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