無責任でいられないけど、全責任も負えない 松たか子さんと「言葉」
松たか子 彼方のわたし
松たか子さんが撮りおろしの写真とともに、心のうちをつづる連載フォトエッセーです。
諸先輩方に交じって、この連載を書かせていただくことになったとき、昔から時々、頭によぎることをスマホにメモした。が、ずっとそのままになっていた。今日はそのことを覚書として書いてみようと思う。
俳優という職業上、台詞(せりふ)という言葉を、覚えては語り、忘れていく、を繰り返しているが、言葉や物事の始まりはどんなだったんだろう、ということに興味がある。きっかけが何だったのかは覚えていない。ヘレン・ケラーが「water」という言葉を理解したという伝記のエピソードを読んだ時からか、最初はおそらく謎だらけの生物だったであろう「ナマコ」を最初に食した時はどんなだったんだろう、と思った時だったか…。
ヘレン・ケラーにしろ、ナマコを初めて食べた人にしろ、それを「water」「ナマコ」と名付けた人は別にいるわけで、そこに至るまでのことがとても気になる。
誰かが何かを思い、感じなけ…
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