修繕に地域外の力もいざ参集 黒沢映画きっかけで再現の戦国の馬防柵

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小林圭
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 1575(天正3)年に織田・徳川の連合軍が武田軍を破った「長篠・設楽原の戦い」があった愛知県新城市の東郷地区。高さ3メートル超の馬防柵(ばぼうさく)が約100メートルにわたって続き、古戦場であった往時をしのばせる。柵は40年以上前に地元住民が再現した。高齢化や人口減少で柵の維持が困難となる中、地域の外からの「力」も得て、柵を守っていく取り組みが始まっている。

 昨年12月にあった柵の修繕。地面に木材を立て、その木材に横木をくくりつける作業に、住民30人に加え、名古屋市や同県岡崎市静岡県三重県などから6人の男女が参加した。

 楽しげに作業にあたったといい、参加した男性(49)は「知識として知っている歴史を追体験できる」と意義を語る。柵の維持活動に取り組んできた地元住民でつくる「設楽原をまもる会」の今泉研吾会長(81)は「楽しいというより大変な仕事だと思っていた。楽しんで参加していることにびっくりした」と話す。

 「長篠・設楽原の戦い」では、織田・徳川の連合軍が馬防柵をつくり、武田軍の騎馬隊の進撃を防いだとされる。1980年公開の黒沢明監督の映画「影武者」で、「長篠・設楽原の戦い」も描かれた。映画をみて、東郷地区に観光客が足を運ぶようになったが、あたりに広がるのは田んぼばかり。ここが古戦場であることがわかるようなものはなかった。

 そのため、住民から馬防柵を再現しようという声が上がり、「影武者」の公開翌年に柵を作った。それ以降、古くなった柵を新しいものに取り換えながら維持してきた。

「影武者」公開で上がった地元からの声

 柵は、長さ4メートル、太さ…

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