第2回のだめが育ててくれた20歳の上野樹里さん 自立と葛藤に重ねた成長

有料記事私の「のだめカンタービレ」

聞き手・中沢絢乃 野城千穂
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 2001年に連載が始まった「のだめカンタービレ」。完結後も人気は根強く、22年には関連のコンサートや展覧会が相次いだ。ブームに火を付けたのは06年の実写ドラマ化。音大でピアノを学ぶ、天才肌で“変態”な主人公・野田恵を上野樹里さんが熱演した。漫画の実写化は賛否両論を呼ぶことが多い中、上野さんはどのように野田恵を立体的に作り上げたのか。のだめは今の上野さんにとってどんな存在なのか。上野さんに語ってもらった。

     ◇

 ――のだめは、上野さんの連ドラ初主演作でしたね。

 そうですね。ちょうど19歳から20歳になるときで、初めての経験でしたし、撮影しながら徐々にのだめのキャラクターが定着していった気がします。

 それがリアルでもあったのかな。のだめは福岡の田舎の、のり農家出身で、どこかあか抜けない声のトーンや表情が、当時の自分は自然に出せていたと思います。お芝居の経験もまだ浅くて、声帯も全然使っていなかったし。当時の自分としては一生懸命やっているんですけどね。

 ――役作りで意識したことは。

動き考え練習も…フランスでむち打ちに

 漫画の世界を、3次元で生身の人間がいかにキレキレに表現できるかの勝負でした。のだめのように奇声を出す役も初めてでしたが、ヌルッとしちゃうともったいないじゃないですか。原作はエンターテインメントとしてとても優れた作品です。どのシーンも面白く印象的になるよう、精いっぱいやりきりました。

 感情も大事ですが、身体的な表現にも気を使っていました。(のだめの先輩の)千秋真一役の玉木宏さんも、私も、できる限り漫画の中の2人のように本当に白目をむいたり、髪の毛を跳ねさせたりしていましたね。漫画で描かれるのだめのポーズを、自分の中で動かして。

 連ドラ終了後、続編となるスペシャルドラマや映画で、舞台はヨーロッパに移りました。

 フランスで撮影中、むち打ちになったことがあります。のだめが浮かれて、コンサートホールの入り口の石段を登っていくシーンです。浮かれた様子を表現するために、自分で振り付けを考え、ぐるぐる回りながら足元を見ないで石段を登ろうと思いました。スタッフの皆さんがカメラのセッティングなどをしている間に、誰に言われるでもなく一人で何度も練習していたんです。ただフランスは石畳で、コンクリートより硬くて。ぺたんこのパンプスで何度も練習していたらむち打ちになってしまいました。コルセットもほとんどできず、体を張っているなと思いました。

 ――ご自身で動きを考えたのですね。

 そうですね。普通に登ったらつまらないじゃないですか(笑)。

楽しさを提供したかった

 ――放送当時、上野さんの役への憑依(ひょうい)ぶりに、「のだめは、素の上野さんなのではないか」と思った視聴者も多いと思います。

 ありがたいですね。

インタビューの後半では、「のだめ」と上野さんがともに成長したこと、ショパン国際ピアノコンクールで2位になったときの反田恭平さんが「のだめと同じ表情だ」と思ったことなどを語ります

 ――でも裏には、それだけ計…

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