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新党・日本維新の会の代表に就く橋下徹大阪市長が、日韓双方が領有権を主張する竹島について「両国で共同管理すべきだ」と発言し、波紋を広げている。ツイッターでは批判が殺到し、維新の会内部にも戸惑いが広がるが、橋下氏は一歩も引かない構えだ。
「竹島は固有の領土という主張は曲げないが、シビアに国益を考えて、ルールづくりをやった方がいい」
橋下氏は25日、大阪市役所で報道陣に対し、日韓双方が竹島の領有権問題の決着を国際司法裁判所に委ねたうえで、島の共同管理をめざすべきだとの考えを強調した。
共同管理論が飛び出したのは23日、新党に合流する国会議員らが集まった公開討論会でのことだった。橋下氏は「(韓国が実効支配している)事実を武力でひっくり返すわけにはいかない。共同管理にもっていかないと」と語った。
発言はすぐにネット上で論議を呼んだ。ツイッターなどで「なんで共同管理せなあかんねん!」「売国路線まっしぐら」「韓国が応じる可能性もなく非現実的」と批判が相次いだ。
24日は休暇をとった橋下氏も「固有の領土だから当然!というロジックは何も解決しない」「完全返還など韓国がのみますか?」「交渉事は小さな目標から入らなければ」などと反論をツイート。1日で60件以上を書き込んだ。
なぜ共同管理なのか。橋下氏は25日、「ずっと前から考えていた」とし、漁業問題を理由に挙げた。1999年に発効した日韓漁業協定では竹島周辺に両国共同の暫定水域を設定したが、休漁期間の違いや韓国側のズワイガニの乱獲など紛争が続いてきた。
橋下氏は「国益が損なわれている。周辺海域を含めて利用のルールをしっかりと決めていかなければ」と述べ、共同管理こそ日本が現実的な利益を得る道になると主張した。
ただ、日本維新の会は次期衆院選での国政進出をめざすだけに、維新の会の内部からもとまどいの声があがる。地方議員の一人は「(共同管理について)議論はなかった。橋下代表個人の考えとして発信したのだろうが、保守層からの支持を失ってしまう」と心配する。日本維新の会幹事長に就く松井一郎大阪府知事は報道陣に感想を問われ、「一つのやり方として発言したと感じている」と述べるにとどめた。
それでも、橋下氏が自説を変える様子はない。報道陣から共同管理論によって、維新の会が支持を失う恐れはないかと問われると、こう返した。「別にいいですよ。議席を得るためにやっているわけじゃない」(左古将規)