翁 杉

所在地 : 鹿児島県熊毛郡上屋久町

延々と続いた山林軌道から大株歩道に入って暫く、ウイルソン株の手前で最初に出会える巨木がこの翁杉 (おきなすぎ)である。推定樹齢は2000年とされ、老化によるものか頂部は枯れて折損しているので、 樹高は23.7mにとどまって低いが、目通り幹周は12.6mを測り、屋久島では縄文杉に次ぐ幹周 を持つ大スギだとされている。岩石と砂礫の沢地にあって湿度の高い環境から、根元は苔に覆われ、幹に はナナカマドやサクラツツジなどの着生植物の根が這っており、翁杉の名前に相応しい古木の風格をたら しめている。天候の良い時には後方に翁岳の姿が見えるところから「翁杉」と名付けられたという。

20010/9/10  この樹は、地上2〜3mの高さから折れ、倒壊してしまったそうだ。



ウイルソン株

所在地 : 鹿児島県熊毛郡上屋久町

ウイルソン株とは、大株歩道の名前の由来になっている、切り口の幹周りが13.8mもある巨大な切り株 のこと。およそ300年前に伐られたと伝えられるスギの伐り株で、樹齢が2000年程と推定される巨 木だったと考えられる。この株は300年経った今でも朽ちることなく立派な原型を残しており、株の根 際には切り株更新をした樹齢300年程の小杉が3本育っている。株の洞内は畳10畳敷ほどもある広い空 間になっていて、洞内には祠が祀られている。洞内に湧き出す清水は登山者の飲料水に使えると聞いていた が、最近の調査では汚染されていて飲料には不適だとされているとのこと。昔は山仕事をする時の生活小屋 代わりにも使われていたという。縄文杉に至る大株歩道沿い、標高1030mにあるこの株の周囲は旧藩 時代に皆伐状態に近い伐採が行われたことよって日当たりの良い大きな空間が出来たが、その後に再生した とみられる小杉群が立派な人工林を思わせるほどに育っており、屋久杉原生林の更新の仕組みがよくあらわ れている。 ウイルソンとは、1914年に来島して、この株の存在を世に紹介したアメリカの植物学者の名前である。